スピーカー追求道>【4スピーカー追求編】ユニットとエンクロージャーの関係トップ>
8、樹の響きは私のテーマ

私、大山の目指しているスピーカーは「機械」としてのスピーカーなのか「楽器」としてのスピーカーなのか?
自分でも正直目指す方向性がはっきりしていない部分もあるが、ハイファイという前提を崩さないレベルでの「楽器系」なのかもしれない。これは長岡先生の考え方のほぼ継承だと思う。しかし、スピーカーはやはり機械でハイファイにこだわればやはり、機械だ。楽器としてのスピーカーは下手をすれば、ハイファイとは遠くかけ離れたほとんどおもちゃのようなスピーカーに成り下がる危険性もあり、実際にそのようなスピーカーもたくさんあるのだ。
ところで「機械系スピーカー」と「楽器系スピーカー」を比較すれば本質的に開発が難しいのは楽器系な気がする。なぜなら共振を減らすのは基本的にはキャビネットを重くし、モーダル解析などを駆使すればかなりりの部分解決できるが、響きを利用するのは職人的・芸術的センスが要求されるからである。メーカーは売れるために万人にうける無難なスピーカー作りをしなければならないが自作派にはそんな心配は無用。「スピーカー作りは職人の世界」とは長岡鉄男氏の言葉だがまさに的をついた表現だ。「樹の響き」は楽器作りと考えると永遠に解明されることなどないわけで、それだけ奥の深い世界といえるのかもしれない。私は運よく木工業界にいるので一般の人よりかいろんな材を使えるチャンスがある。なんとかこの「樹の響き」という未開のテーマをいろいろ研究していきたいと思います。
この文章を書くにあたり:中島平太郎氏の著書「スピーカー」を多いに参照させていただきました。興味のある方をご覧ください。