振動板に使われる素材1-紙系
現在スピーカー振動板に使われる材料で、コーン型振動板ではほとんどがこの紙系の振動板である。ツィーターなどには金属系材料の採用が増えたがウーファーは紙系のシェアが断トツです。何故紙でなければならないのか?その理由は軽くて内部損失が大きいことです。ウーファー材料には今後も紙がメインの座を占めることになるのはほぼ間違いないと思われる。
コーン紙の製造技術は1920年代の初期段階では、抄造技術が低く、ドーナツ形状の紙の一部を切り取ってはぎ合わせるというお粗末なものでした。1930年代後半になってやっとコーン型の型を作りそこにパルプを流し込み成型するシームレスコーンが作られるようになりました。
コーン紙の性能はパルプの種類はもちろん、水、ph、叩解、抄造成型、2次処理などそのプロセスが音に大きな影響を与えることが分かり、ユニットメーカーの技術の核心部分として秘密事項となっているようです。
以下の表は佐伯多門氏の「スピーカー&エンクロージャー」からの引用でパルプに混合される材料の一覧である。
主パルプ | SP(サルファイトパルプ)、さらし、末さらしの違いあり |
副パルプ及び繊維 | マニラ麻、カルナウバ揶子、亜麻、綿、カポック、リンター、ワラ、竹、チシマササ、ケナフ、ミツマタ、ガンピ、コウゾ、絹、羊毛、コラーゲン、海草、ホヤ、レーヨン、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、オレフィン系(SWP、合成パルプ) |
強化繊維その他 | 炭素系、黒鉛系、ステンレス、モリブデン、スチール、SiC、AL2O3、 Zro3、 ガラス、SiO2、ボロン繊維、アラミド、ポリアミド、グラファイト、ボロン、ボロンカーバイト、シリコンカーバイト、有機単結晶ウイスカー、マイカ、黒鉛粒など |
コーン紙を作る際には一つのパルプ(木材繊維)から作られることはまれで複合的な材料を使うことで音質向上を狙うことが多い。
フォステクス社のFE208ES-Rは5種類の材料を混ぜている(ケナフ、カーボンファイバー、バイオセルロース、残り2つは不明)