Q値、Q0、Qゼロとは
Qとは(Quality factor)共振の度合いを表す値。「Qの値が低い」ということは共振を素早くコントロールし、素早くとめることができていることを示し、逆に「Q値が高い」ということは共振が長く続いているということである。Q値は低いほうが音の立下りが良いので一般的好まれる。しかし、低ければ低いほど良いというものでもない。
ーーーーここから先少し難ーーーー
Q0(Qゼロ)とはスピーカーの最低共振周波数f0における共振の度合いを表す定数であり、スピーカーエンクロージャーの屋台骨である低域特性を決める大切な値である。海外のユニットではQ0値をQms(機械的共振)とQes(電気的共振)にわけ、そのトータルをQtsと表記しているものもあるがこれをQ0と考えて良い。
Q0(Qts)はエンクロージャーに入れると上昇し、その値をQ0c(Qtc)と呼ぶ。一般的にQ0cの値が0.7~0.8のときが平坦な特性。Q>0.7だとボンツキ、Q<0.8だと低域不足になると言われている。つまりスピーカーシステムを設計する際は、ユニットのQ0の値とエンクロージャーの上昇分を見込んで箱の設計を考えなければならない。
ちなみにスピーカーエンクロージャーはQtcが0.7から1程度が普通に設計されるが、バイオリンなどは30近いあたりになるそうである。これは共振を利用して音を出す楽器と、共振をコントロール(少なく)して音を出すスピーカーの大きな違いである。
バックロードホーン型スピーカーは一般的に極端にQ値の低いユニットを利用する(たとえばFE208ESと呼ばれるバックロード専用のユニットのQ0値は僅か0.1である。)これはホーンによる低域共振付近の上昇が大きいためである。Q値の高いユニットを利用すると、低域共振付近に山のできたいわゆるぼんついた特性となってしまう。
逆に平面バフル方式のスピーカーにおいては比較的Q値の高いユニットを利用する。これはバックロードとは違い低域の上昇効果がバフルによる低域の打ち消しを解除する以外に見込めないため、低いQ値のユニットを利用すると低域不足になってしまうからである。
スピーカーエンクロージャーによって使われるQ値の目安は以下のとおりである。(Fostex Craft hand bookより)
平面バフル型→0.2~1.0
密閉→0.2~1.0
バスレフ型→0.3~0.6
フロント・バックロードホーン型→0.2~0.4