密閉型
密閉型エンクロージャーは、振動板の背面から出る音をエンクロージャーで囲い(密閉し)、音波を外に出さないようにしたシステムです。ツィーターやスコーカーなどは背圧が小さく、ユニット背面の音を利用しないので密閉型エンクロージャーが自動的に利用されています。ウーファーに密閉を利用する場合背圧の影響があるため内容積や、ユニットの選定に入念な検討が必要になります。以降の話は全てウーファーに密閉を利用する場合の話です。
密閉型エンクロージャーは閉じ込められた空気がばねの働きをしてユニットの動きを妨げようとします。箱の大きさを極端に大きくしてしまえば、このばねの力は無視できるほどになり、いわゆるJIS箱と呼ばれるスピーカーユニットの説明書に載っている特性に近い低域だら下がりの特性を得ることができます。それとは逆に箱の大きさを極端に小さくして、空気ばねの力を積極的に利用しようとするスピーカーがエアーサスペンション方式のスピーカーです。しかし、この方式のスピーカーは極端にF0の低いユニットを使って、箱に入れたときに特性をフラットにさせる仕組みで、市販されている通常のユニットではうまく機能しません。一般的な密閉型エンクロージャーはJIS箱とエアーサス型の中間の大きさで適度にばねの力を利用して特性を平坦にもってゆくことを狙ったものということができます。
整理すると、
①密閉箱の大きさ(大)⇒⇒空気ばね(小)⇒⇒JIS箱、無限大バッフル
②密閉箱の大きさ(中)⇒⇒空気ばね(中)⇒⇒一般の密閉エンクロ
③密閉箱の大きさ(小)⇒⇒空気ばね(大)⇒⇒エアサス方式
図で特性を表すと以下のようになります
私が分類した8つのエンクロジャー形式(密閉型 バスレフレックス型 平面バッフル型 背面開放型 音響菅型 バックロードホーン型 フロントロードホーン型 コンビネーションホーン型 )の中で密閉型エンクロージャーは、ユニット背面の音を利用しない唯一の形式でもあります。つまり理論上能率は最も低く、音は小さく聞こえます。
密閉の大きなメリットは時間特性に優れていることです。8つのエンクロージャーはユニットの背面からの低域が前面からの低域に対して、多かれ少なかれ遅れてでるため、ユニット前面からの音とのつながりが問題になります。密閉式は背面の音を100%殺すことはできないのですが、仮に背面からの音がないと仮定すると理論上低域はユニット背面からでませんので、時間的な遅れはないことになります。
密閉型エンクロージャーの内容積の計算式は以下のようになります。