平面バッフル型スピーカー
平面バッフル型スピーカーとは、 一枚の板(平面バッフル)にユニットがついているスタイルのスピーカーのこと。板の大きさが無限大に大きいものを無限大バッフルと呼び、ユニット前面と背面の音の打ち消し、強めあいを完全にシャットアウトする。しかし無限大バッフルは理論上の話で現実的に作ることは難しい。
そこでその代用として「巨大な密閉箱」や壁にユニットをつけた「壁バッフル」というものがある。それらはユニット背面にかかる空気バネの力がほぼゼロに近づけば、無限大バッフルと同様の効果があると考えることができる。
「無限大バッフル」との対比で「有限バッフル」というものがある。大きさが有限、つまり現実的に存在するバッフルのこと。無限大バフルとは特性が違ってくる。まず低域はバッフルの大きさによって周り込み、周波数特性上強めある部分と弱めあう部分(ピークとディップ)を生む。さらにユニット前面の音と、背面の音とでは、ユニットの中心からバッフルのはじまでの距離の時間差があり位相が狂う。
つまりバッフルの大きさが大きければローエンドは伸びるが低域が遅れてでる。バッフルの大きさが小さければ、時間的な遅れは少ないが必要な低域は確保できず周波数特性が凸凹になるということだ。平面バッフルの難しいところは箱型ではないため、補強が難しく、板が盛大に鳴り響いてしまうという欠点もある。
平面バッフル型スピーカーの欠点を多く述べたが、長所もある。最大の長所はユニット背面が自由空間であるので、ユニットへ一切背圧がかからないことだ。これはユニットの応答性が最も優れているということで、アンプからのどんな微小信号にも忠実に反応する。これは背圧のかからない平面バッフルと後面開放にのみ存在するメリットだ。
私はこれまで平面バッフル型スピーカーは一度も製作をしたことがないため上記は全て長岡鉄男氏の解説の受け売りになるが、1200×900程度(サブロクの板の3分の2の大きさ)ぐらいの大きさのもので、ユニットの取り付けをセンターからはずせば、山や谷もある程度分散されなだらかな特性になるそうだ。実際長岡氏が方舟で利用していたスペアナ特性用の箱はこのサイズの平面型バッフルであった。
平面バッフル型スピーカーの計算はバッフルの大きさによって再生できる周波数の最下限が決まります。Lはスピーカーからバッフル端までの距離(単位はcm)。この式にさきほどの長岡鉄男氏の平面バフル型スピーカーをこの式に当てはめると、約90hzほどまで再生できることになる。
しかし上の計算式は、ユニットをセンターからはずし、床や周りの壁などが存在するなどの現実に即した計算式であり、無響室での厳格な測定をした場合にはL(スピーカーユニットからバッフル端まで)の半波長程度しか再生できない。先の長岡氏のスピーカーで言えば、370hzあたりになる。
Lの長さと同じ波長は逆相になるため特性上デップを作り、Lの半波長の周波数では同相でピークを作ります。ユニットをセンターにとりつけると4方向から音のピーク、デップが全て重なるため、特性の凸凹が激しくなってしまう。ユニットのセンターを外せばピーク・デップをある程度分散させフラットに近づけることができる。ゆえに「ユニットをセンターに取り付けるな」と長岡氏は述べているのである。
ちなみに、ユニット前面と背面の時間差はこのLによって求めることができます。(時間差=L/34000)面バッフルに適したユニットはF0、Q0値が高めのユニットを使うと良いとされている。これは背圧がかからないので、F0、Q0が上昇しないためである。