定在波
定在波【standing wave】とは空気中を伝わった音が壁にぶつかると、反射し入射波と反射波が重なり波が動かないような状態になること。定在波は主に平行に向かい合った壁との間で発生し、部屋の場合天井と床、左右の壁、前後の壁と3方向に発生する。厳密には直方体の対角線方向にも発生する。
定在波が強く発生すると、リスニングルームのある地点では音圧が異常に高くなり、またある地点では音圧が急降下するなどの音質上有害な現象である。主に500hz以下の低音域でのみ問題になる。
定在波を完全に防ぐことはできないがピークやディップを弱めるためにに以下のような方法がよくとられる。
①リスニングルームの設計時点で壁を5角形にするなど平行面をなくし、天井も階段状にして床と平行にしない。この方法は最も定在波の影響を少なくできるがコストが最も高くつく。
②低域を吸音する壁にすること。音の反射が一切ない無響室では定在波は理論上発生しない。このことを通常のリスニングルームに適用して、壁に低域の吸音を多く取れば定在波を減少できるという考え。
③部屋の寸法比を定在波が発生しにくい比率にする。天井と床、左右の壁、前後の壁の比率が全て同じ寸法(直方体)の部屋は全ての定在波が重なるためその悪影響が最大になる。比率をばらすことで定在波を拡散させフラットに近づける考え。
④壁や天井に凸凹のデフューザーなどを設置する。吸音パネルを置く。
⑤リスニングポイントの調整。