VICTOR SX-WD500の視聴・評価

VICTOR SX-WD500視聴後の大山の感想
SX-WD500はビクターが20余年の歳月をかけて完成させたウッドコーンユニット搭載のフラッグシップモデル。
SX-WD500に搭載されているユニットは本シリーズの最大口径となる14.5センチのウーファーに、2センチのツィーター。両ユニットとも樺(英語名バーチ)を採用している。振動板の薄さはそれぞれ0.4mmと0.22mmというからちょうど薄突きの突き板(0.2~0.3mm)とほぼ同じ厚みということになる。(「薄突き」とはシナベニヤの表面にはってあるシナの厚さと思えばよい。)それを振動板にしたとういうのだから凄い。単純な疑問は強度を保てるのかということ。強度が保てなければ分割振動による歪が発生する。もうひとつの疑問は紙よりかダンプする性能は圧倒的にないわけだから、固有の振動がものすごいでるのではないかということ。
私個人の考えではユニットは正確なトランスデューサーでなければならないとかんがえている。当然どんなユニットにもキャラクターというか味付けはあるにはあるが、ユニット自体が大きな主張をしてはならないと思うのだ(僅かな味付けは箱の設計、響きで行う)。これまでの経験でいうとスコーカー、ウーファー部分では紙にかなう素材は今のところ私は知らない。だからこのような新しものには期待と同時に疑問の目を向けてしまう。
このSX-WD500他ウッドコーン系スピーカーは非常に興味があったので発売されたときに視聴しましたが、今回ショップで他のスピーカーと並べて再視聴しました。音は紙のコーンとだいぶ違い立下り感が少し遅いのを感じました。音は前にでてくる刺激的な音ではなく、まろやかでふんわりした感じです。低域の分解能力はそこそこあるが、情報量はさほど多くない若干低能率なユニットのようです。音はもっとめちゃくちゃかと思いきやなかなかのレベル。
特にバイオリンやチェロのような弦楽器の胴鳴りの色気や艶などはかなりレベルの高い次元で再現ができている。メリハリやアタック感という意味あいではもう一歩か?聞き疲れしないスピーカーの代表のようなスピーカーだ。この果敢なチャレンジには頭が下がる思いがするが、100年ほど続く紙のユニットの歴史にはすぐに追いつけるはずもない。ぜひこのウッドコーンユニットをバージョンアップさせていっていつか紙系を追い越すものをだして欲しいと思う。
このスピーカーは楽器系スピーカーであることを前面にだしているが、何故何故どうしてエンクロージャーはMDFなんだ~?せめてフロンとバッフルにだけでもユニットと同じバーチを使えばよいのに!!と思ってしまうのは私だけか?
ビクター SX-WD500カタログより特徴
- 種類:2ウェイバスレフ型(防磁形/JEITA)
- 使用スピーカー:11.0cmウッドコーン・スピーカー×1、2.0cmウッドドーム・スピーカー×1
- 定格入力(JIS):25W
- 最大入力(JIS):100W
- 定格インピーダンス:6Ω
- 再生周波数帯域:55Hz~50,000Hz
- 出力音圧レベル:82dB/W・m
- 外形寸法:横幅143mm×高さ257mm×奥行243mm (スピーカーターミナル、サランネット含む/1本)
- 質量:3.5kg(1本)
- 付属品:スピーカーコード(無酸素銅/3m)