PIONEER S-PM300の視聴・評価

PIONEER S-PM300視聴後の大山の感想
パイオニアのS-PM300はピュアモルトシリーズのスピーカー。ピュアモルトスピーカーとはエンクロージャーの材にウイスキーに使われる樽を再利用していることからの名称らしく、サントリーとオークヴィレッジ、そしてパイオニア3社のコラボレーション製品。このピュアモルトシリーズは1998年に限定生産されたS-PM100LRを皮切りに、アンプやプレーヤーなども限定で生産された。現在(2008年)はこのS-PM300とS-A4SPT-PMの2機種が販売されている。
しかしこんな特徴のある製品を、大手のパイオニアがやるのだからオーディオ市場も変わったものだと思う。周波数特性一辺倒の20年前では考えられなかった商品ではないか?今までのスピーカー販売とは全く違ったアイデア・切り口での商品でしかも箱自体に金をかけた商品。スピーカー売り場でも一際目立つ。長岡先生が生きていたら喜んでレビューを書きそうだな。
ところでこのS-PM300の樽(たる)に使われている材料は楢(なら)。樽と楢は似た字ですね・・・。楢(なら)の英語名はオーク。無垢の家具職人では定番中の定番の材だ。この楢の集成材をエンクロージャーに全面的に利用している。音の設計方針はパンフやホームページには出ていないがモニター色より、楽器的な作りになっているのが十分予想できる。
S-PM300は目黒にパイオニアの広いショールームでの視聴であるが、たしかにS-1EXのモニター色のようにきっちり定位する方向ではなく、音場がやや広めで温かみのある音色に仕上がっている。楢の響きはメープルやバーチのような高域よりの響きではなく、シナのように乾いた響きでもない。ある程度音をダンプするみずみずしい響きだった。しかしあまりに大音量(ボリューム位置10時レベル)になると小型バスレフの宿命で音が詰まるように感じれた。しかし通常の音量で聞く分には全く問題がない。
S-PM300のようなサイズのスピーカーは設置には難物である。さらに箱自体がなるスピーカーの場合床とのインシュレーションによって音ががらりと変わってしまう。専用のスタンドCP-PM300が最良であるだろうが結構高い。スタンドを買えない場合は床にがやわらかい場合は厚いボードを敷きインシュレーターをかませたい。
パイオニア S-PM300カタログより特徴
- 型式:位相反転式ブックシェルフ型
- スピーカー:10 cmコーン型ウーファー×2、2 cmドーム型トゥイータ
- インピーダンス:6 Ω
- 再生周波数帯域:40 Hz ~ 40 kHz
- 出力音圧レベル:84 dB
- 最大入力:100 W (JEITA)
- クロスオーバー周波数:4.5 kHz
- 外径寸法:160 mm (W) × 540 mm (H) × 252 mm (D)
- 質量:8.5 Kg
- 付属品:グリルネット、OFCスピーカーケーブル(2.5 m)、すべり止め付属、保証書付き、防磁設計(JEITA)