実験2.1~2.6までの実験で分かったこと
2台のスピーカーに(Lチャンネル利用)別々に設定した空気室とスロート絞り率を比較する実験では主に次のことが分かった。
①空気室とスロート絞り率は合板を入れる容量を変化させることによって音が変化するが、その変化の違いはスロート断面積よりか、空気室のほうが変化が大きく感じられた。これは当初の予想に反する。
②空気室もスロートも本質的には”ホーンの入り口”に当たる部分でその役割の違いは明確でない部分もあるが、今回の実験から両方とも大雑把にいって”絞ると”ホーン的、”開くと”迷路的な音の違いになることを確認できた。
②空気室を極端に小さくすると、ユニット前面の中低域が歪んでくるのがわかった。ホーンからの中高域の漏れは今回も観測できなかった。
③空気室を極端に大きくすると(今回の場合4.73L)ホーンロードがかからないかと思いきや、この程度の大きさでは十分にロードがかかっているようでむしろボーカルを使ったソースではこのくらい大きくても逆に見通しがよく合うソースもあると思った。
④スロート絞り率が0.49以下になると音圧が低くなり、それと共にユニット前面からでる音の歪感を増大させる。極端に低く(0.2程度)すると完全に超小型の密閉スピーカーになりまともに聞けないほど音が悪化する。
⑤聞くソースによって変化の違いが非常に大きく感じられたが、全く感じられない場合もあった。
⑥空気室とスロート絞り率は極端に大きかったり極端に小さかったりしなければかなりの許容範囲があり、聞くソースとの相性やリスナーの好みの問題が大きいと思った。
⑦私が使ったFE138ES-Rは左右のスピーカーの裸の特性が違うのには苦労させられた。下手したら箱の違いよりか、この元のユニットの音の違いが大きい場合があった。
⑧自分でバックロードホーンを設計する場合は何より空気室とスロートを大きく設計しておくことが大事なのが分かった。小さくするのは後で木材を詰めれば簡単に修正ができるから。(逆はできない)