スピーカー追求道>【4スピーカー追求編】スロート絞り率と空気室の関係
はじめに
内部に音道構造を持った折り曲げ式のバックロードホーン(フォールデッド方式)を設計するにあたって音を変化させるファクターは非常に多い。例えば
- どのようなスピーカーユニットを利用するか
- 空気室の容積
- スロート絞り率
- 音道全体の長さ
- 音道部分をどのように分割するか
- 各音道部分の形状、寸法比
- どのような角度で音道を折り曲げるか
- 音の出口をどこに配置するか
- 音の出口の面積
- ユニットをどこに配置するか
- 吸音材、木材の種類・量はどう利用するか
などなど。音に影響を与えると思ったものを列挙してみたが、よく考えてみれば他にもファクターがあるはずである。
バックロードホーンがバスレフや密閉のように一般公式が作れないのは上に述べたような変数があまりに多いうえ、共鳴管や音響迷路といった他の動作を兼ねることが最大の原因である。ゆえにバックロードの設計は勘と経験に頼ることになってしまうわけである。
しかしバックロードホーンを多く作った先人(長岡鉄男先生など)の書物を読み、自分でも数10機種バックロードホーンを作ってゆくと経験的に重要なファクターというものが見えてくる。
今回焦点にする空気室とスロートの部分はバックロードホーンの音に変化を与える極めて重要なポイントだと私は考えているから、この2つを変数として変化させ、他のファクターを同一にして実験しようと考えたわけであります。
今回の実験に使うスピーカーはFOSTEXから発売されたFE138ES-Rという限定アルニコマグネット搭載のユニットに私が独自設計をしたスピーカーーを利用します。
上のような上部の天板を取り外し可能なスピーカーを作り、空気室とスロート部分に下の写真のような合板を詰めていって音の変化を測定しようというわけです。
実験時は天板の上に重さ10kのTGメタル3つをおいて音漏れを防ぎます。
実際の実験結果を示す前に長岡鉄男先生が残した空気室とスロートの見解から見てゆきましょう。