木工塗装の基本
ホームセンターの塗料を使ってスピーカーを塗装するという条件のもと基本事項を書いてみましょう。ここに書かれた項目を守るだけでかなりうまい塗装ができるはずです。
1、ボンドは100パーセントふき取る
これは木工技術編で書きました。組み立てるときにしなければならないことです。ここで述べた方法でボンドを徹底的に落としたあとはさらに念をいれて素地調整をするようしましょう。
タイトボンドのように乾きの早いボンドは拭いたつもりでも必ず着色をするとむらとなってでてきてしまいます。時間に余裕があれば組み立て時にマスキングテープを張ってボンドが合板に付くのを防ぐようにします。
2、初心者には無着色・艶なし塗装がベスト
最も失敗の少ない塗装は「無着色・艶なし塗装」です。逆に最も難しいのが「着色・艶あり塗装」です。これは木工塗装の常識です。
なぜ無着色・艶なしがベストかというと、まず無着色にすると1で述べたボンドのふき取り忘れが目立ちにくいから。そして初心者がやれば必ずできる、塗りむらが透明であるために目立ちにくいからです。塗装はスプレーガンなどない環境で行わなければならない場合いかに失敗を防ぐかということになります。ちなみにシナ合板の艶なしクリヤーは結構綺麗ですがラワンはあまり綺麗ではないです。
3、着色は必ず拭き塗りで着色、塗膜はクリヤーで作る
これは後の”着色+艶なしニス(クリヤー)”で詳しく述べますが、着色と塗膜作りを別々に行うことです。これは木工のプロの塗装屋さんがやる方法でそううすることで最も色むらをでにくくできます。
ホームセンターでよく見かける、”着色と塗膜作り”を同時に行うもの(塗り重ねてゆくと色が濃くなるもの)は一見手間が省けて楽に思えますが、これはプロがやっても失敗するほど難しいです。(特に艶あり)。
4、サンドペーパーのかけ方
素地調整は必ず行ってください。ボンドを落とす目的では#120ぐらいで良いですが、素地調整は#280ぐらいが良いでしょう。
木には必ず木目があります。ペーパーは木目に沿って(繊維方向に)かけるようにします。木目が左右に流れていればサンドペーパーは必ず左右方向←→にのみペーパーをかけます。上下方向↑↓にはかけてはいけません。繊維を傷つけて着色後に傷になります。
サンドペーパーでもう一点注意するところは、出来上がったスピーカーの面(合板の角)は必ずペーパーがけなどをしてとってください。特に着色塗装をする場合面がとれてないとそこだけ色がのらずにダサくなります。
5刷毛の使い方
これは最も難しいところです。基本事項としてはけの滑らす方向は素地調整と同じく木目に沿ってが基本となります。新品の刷毛は毛がぽろぽろ落ちるのでよくしごいてから使うようにします。万一落ちたときは指で拾わず針ですくいとります。刷毛塗りの注意点は、「隣接するほかの面に付着させないように塗ること」。刷毛をスタートさせる位置を面の角からではなく中央ぐらいからにして刷毛を左右に流すようにして、端部で力を抜いて終わらせる。これで塗りたくない面に塗料が垂れるのを防ぐことができる。そのほかの注意点として、刷毛は塗った箇所を2分の1から3分の1程度塗り重ねる・はけの角度は皮膜面に対して30~45度。