圧締することの重要性
木工ボンドはその種類を問わず、接着したあとに大きな圧力をかけなければ本来の接着力を発揮しません。スピーカーエンクロージャーは、構造上外部からの圧力と言えば、それ自体の重さと音圧のみなのでそれほど強靭な構造にする必要なないといえます。しかし、一般的な家具との最大の違いは板同士の密着度をあげないと音盛れの原因となってしまうということです。特にバックロードホーンエンクロージャーにおいては内部の音道構造は目では見えませんが、音漏れなくしっかり接合されているか否かで正確なホーンの動作がまともに働くかどうかが決まってしまうほど大変重要なところです。結果正しいつくりのエンクロージャーはかなり強靭な構造となります。
フラッシュプレス
木工ボンドに真の接着力を発揮させるには非常に強力に圧締する必要があり、かけなければならない圧力には諸説がありますが(使用する材や材の表面の状態によっても大きく異なる)かなり強力な圧力をかけないとならないことだけは確かです。
現在私の手元にある木工の教科書には「2~10kg/cm(木工材料)と書いてあります。これは1平方センチの小さなさいころを板に接着するために、さいころの上から2kgから10kgの重りをかけなければならないということです。実際のスピーカーの側板接着では50平方cmぐらいの材をくっつけるわけなので100k~500kほどかけなかればならなくなります。これはフラッシュプレスなどがない工作レベルでは不可能な数値です。しかしこれは理論上のことであって経験的にはそこまでしなくても十分にくっつきます。ただ圧締する力(重り)はできる限り重くしてもまだ重すぎることはないんだということを覚えておいてもらえればよいかと思います。