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2009年6月16日配信号
梅雨の時期に突入しましたね。
今日は仕事帰りに雨に降られてずぶぬれに
なった大山です。
■1台のスピーカー製作で、100台以上の
スピーカー製作の経験を得る方法■
今日は日頃スピーカーエンクロージャー
製作ばかりしている私の”試作スピーカー”
の方法を公開しようと思います。
スピーカー製作に関心のない方は今号
はスルーしてくださいませ。
なお今回お見せする2つの試作の方法論
はバスレフでも密閉でもダブルバスレフでも
ほとんどなんでも使えると思います。
私が今やっているスピーカーはCW型の
バックロードホーン。
CW型バックロードホーン型のスピーカーは
知らない人のためにさらっと説明します。
バックロードホーンとは
スピーカーボックスの内部が迷路のように
なっていて、スピーカーの背面から
でる低域を増強する方式のスピーカー。
この迷路がホーンのようになっていて、
出口にいくにしたがってだんだん末広がりの
構造になっていて低域をとりだします。
CW型とはconstant widthの略。要は横幅
一定という意味。つまりボックスが普通の四角の
直方体であれば横幅は常に一定になりますよね。
長岡先生はこの型の箱をCW型と呼んだ。
D10、D37、D58などみんなこの形です。
ちなみにスワン型はCWではありませんね。
横幅が一定ではありませんから。
バックロードホーンの箱が良い箱か
悪い箱かを決める最大の要因は
スピーカーユニットをマウントした時に
このホーンから必要な低域がしっかり確保されて
ユニットの中域にうまくつながるかどうかです。
この低域の出方は何で
決まるかというと箱の内部の迷路の構造によって
決まります。
この迷路の構造は経験から若干の一般則を
長岡先生も導きだしていますが、最終的には
箱を組んでみて音を出してみるまでどのような
低域がでてくるかは分かりません。
私が長岡先生のスピーカー作りから今までに得た若干の一般則らしきものとは
●コニカル形式よりか直管形式のほうがローエンドの
量感をだしやすい。
●各音道の長さを直管形式で一定にして、180度で折り曲げる
のが最も低域を容易に得やすい(スワンやバッキー)。
●ホーンの断面を極端につぶさない。
●ホーンの長さはいくら長くしても、正確な広がり
率でないと(うまくロードがかからないと)
ローエンド全くのびない。逆に落ちることもある。
この程度です。
これとて例外だらけで実際はこのルールから外れても
うまくいくこともあるでしょう。
とにかく組んでみるまでわからないという
のがバックロードです。バスレフ密閉のようなシュミレーション
が全くあてにならない。
ボンドを入れて組んで、低域がスカスカだったら
どうしようもありません。ホーンの入り口
と出口の容積は少々いじれますが、内部には
手のつけようがありません。
そこで私はこの時間的なロスを極力なくして、
たった1台の試作で100台以上のスピーカーの特性を
知る方法を発明しました。
特許をとりたいぐらいですが、
単なる方法論なので無理でしょう・・(笑)
方法は2つあります。
方法(a)
片方の側板だけを接着しない。あとは普通に接着する。
内部の音道に板を重ねていって容積を
増す。音だしをするときに側板をクランプで止めて
音だしをする。納得がいくまで板を増量、減量して
調整する。
写真で詳細を解説
http://www.diyloudspeakers.jp/idaf/data/636.html
方法(b)
エンクロージャー半分を上下真っ二つに割る。
中の音道のパーツを接着しないで、固めにはまる
ように板取りをする(これが結構難しい!!)
この音道を自由に動かして容積を調整する。2つを合体して音だしを
する。納得がいくまで板を動かして音だしを続ける。
写真で詳細を解説
http://www.diyloudspeakers.jp/idaf/data/637.html
どちらの方法も一長一短があります。
(a)の方法はかなり強固に締め付けができるので、
実際にボンドをいれて音だしをしたときと近い特性
が得られますが、非常に手間がかかる。一回ごとに
大きなクランプを開け閉めするのは結構苦痛。
(b)の方法は非常に短時間に多くのパターンを
試せて、都合が良いのですが、板をはさんでいるだけ
なので、音漏れが若干心配。
(a)と(b)のミックスも考えられますが、
私は1時間に20パターン以上試せる(b)パターンを
最近は愛用しています。
この方法でピンクノイズをCDからリピートで流し
ながら、周波数特性機で特性を測っていくと、
特性の良いパターンというのが見つかります。
そしてある程度低域の量感をしっかりだすことが
できたら次は一般のソースを使って再び板を動かして
追い込みをかけてゆきます。このときは測定器は
あまり使わないようにしています。
バックロードに関して言えば、複雑なホーンの計算式
を机の上で時間をかけてやるよりか、1台の
試作を作っていろいろ試したほうが数十倍時間的な節約に
なるのを発見したのであります。
ご参考になれば幸いです。
今回はこの辺で。
■編集後記■
今年の夏ごろから木工房を構えるにあたり
中古の木工機械をいろいろ探しにでています。
中古の機械屋さんに電話を
しては実際に大型の機械を見せてもらったり、
金額の見積もりをとったりしています。
ところで
皆さんは中古の木工機械っていくらぐらい
するかご存知ですか?
まあ機械にもいろいろあるので一概には言うのは
難しいですが・・・
だいたい大型の機械一式を全部中古でそろえると、
250万ぐらいが相場のようです。
ただ、この一式というのはこれが全部あればほとんど
どんな木工作業でもまずこなせるというレベル
の話で、実際はこの半分ぐらいあれば私に必要な機械は
だいたいそろってしまいそうです。
”木工”という仕事は数十年ほど前までは大きな
産業であったようですが、現在は完璧な斜陽産業
です。全~部、中国にいってしまいました。
みなさんが今使っているテーブルや椅子やラック、
タンス、棚など日本で作られたもののほうが少ないのでは
ないでしょうか?
日本で作っていたらコスト的に絶対勝てないのでしょうね。
スピーカーユニットも然りのようで、最近のFOSTEXの
ユニットは限定物でさえしっかり”made in China”
と刻印されていますよね。
大山の作るスピーカーもいづれは中国製品と戦わなければ
ならないときが来るはずです(間接的にですが・・)。
これには
「圧倒的に技術力を高めること」と
「サポートを徹底すること」
この2点で顧客満足を得てゆくという
普通の企業が当たり前におこなっていることを
、実行していこうと思っています。
工房設立は9月ごろになりますが、
どうか応援のほどよろしくお願いします。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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