108万円の音をGETするメルマガ
バックナンバー
2008年9月23日配信号
1週間に1回は酒を空けると決めた
大山美樹音です。
■何故マニアは低域の吸音にこだわるのか■
前々回に吸音について書いたので今回
はその続き。
「何故マニアは低域の吸音にこだわるのかと」
いうテーマで書いてみようと思います。
「室」というものを「無響室」と「残響室」
という両極端にわけて考えてみましょう。
無響室では全ての帯域の音が均一に吸音される。
残響時間は0秒。
それに対して残響室では全ての帯域の音が均一
に残響音として残る。残響時間は3秒~10秒ほど。
現実の部屋はこの2つの部屋の中間にあって
ほどほどに吸音、ほどほどに残響する。
間接音の残響時間は音の全帯域が均一になるのが
理想であるわけだが、残念ながら一般的な部屋で
はカーペットやじゅうたん家具類など中高域を
吸うものが多く、低域は吸音されにくい場合が多い。
この低域の残響は部屋が広ければ広いほど、
部屋が硬ければ硬いほど、吸音材料が少なければ
少ないほど長くなります。
残響時間がどのくらいがベストかは
人によってもだいぶ違うが12畳の部屋であればだいたい
0.2秒から0.8秒くらいに収まるはず。
しかし低域だけは何の処理もしないと
高域より長く残ったりしてしまうことがあるわけです。
結果どうなるかというと、
もたついた低域
ぬけの悪い低域
ぼけた低域
すっきりしない低域
といわれる音になってしまいます。
この低域の残響音の対処方法は完璧にやろうと
すれば容易なことではありません。部屋全体
の工事が必要になります。
簡易的な対処方には
パンチングボードに吸音材をつめておいたり、
部屋の隅に束ねたマットを置くなどの
方法があります。これは低域が部屋のカドに溜まり
やすい性質を利用しています。
オーディオマニアが低域の吸音にこだわる理由
の一つ目は低域の残響時間が他の帯域とずれる
からですね。(長くなりすぎるから)
もう一つ低域の吸音にこだわる理由は
定在波対策です。
定在波は入射波と反射波が重なり
低域に大きなピーク、ディップを作る現象。
この定在波は波長の長い低域でだけ問題になります。
定在波は壁に入る波と、跳ね返った波の間にできる
わけだから壁がその波を全て吸音してしまえば
理論上定在波は発生しない。
そんな理由から定在波をおさえるために
低域の吸音を徹底的におこなうわけです。
(もちろん定在波ゼロにはできないので、
量を抑える程度になります。)
ちなみに遮音を完璧にした豪華なリスニングルーム
は建物の内部、外部を低域が吸音しにくコンクリートなどで
囲むためより低域の残響が長く、定在波が発生
しやすい環境になります。
そのためリスニングルームに莫大なお金がかかった上
さらに低域吸音にもお金をかけなければならなくなる
というダブルパンチを食らうわけです。(室が狭いと吸音
自体ができなくなる場合もあります。)
長岡先生でさえ
「方舟は天井部分は遮音を考えずに、低域を逃げる
(吸音)するようにして良かった」というようなことを
仰っていたそうです。
低域の吸音は永遠のテーマですね。
■FE138ES-R用エンクロージャー完成■
やっとできました。
http://www.diyloudspeakers.jp/idaf/data/135.html
試作兼実験機でトップの部分が取り外しできるように
なっています。
バックロードホーンの大切な指標に空気室とスロート
絞り率というものがあります。
今回はこの空気室とスロートに薄さ2.5mmと4mmの合板
をかさねていって音がどのように変化してゆくかを
実験したくてこんな構造にしました。
そのため完成したエンクロージャーは空気室とスロートを
異常に大きくとってあります。
実験結果はまた後日アップロードしたいと思います。
■「長岡鉄男のスピーカーを聞いたことがない」-第4位12票■
最近はじめたアンケート
第一弾は「あなたが最も好きな長岡鉄男スピーカー
は何ですか?」
http://www.diyloudspeakers.jp/idaf/data/136.html
というアンケート。たくさんの投票ありがとうございます。
まだ投票は打ち切っていませんので投票を済ませて
いない方は是非お願いします。
ほんとみなさんいろんなコメントをいただいて
私も勉強になることが山ほどです。
ここで集まったコメントは今後データベースとして
残してゆきたいと思います。
ところで、ところで、このアンケート
の第4位になんと
「長岡鉄男先生のスピーカーを聞いたことがない」
という項目がありました。!!!!!
あ~そうか。「まだ聴いたことがない人もいるんだ~。」
と思いました。というのも、大山は
自分のサイトやメルマガを見てくれている人は
99%長岡スピーカーを聞いたことぐらいあるだろう
という勝手な思い込みがあったわけです。
しかし13票もはいっているということは実際には
私のメルマガ読者のかなりの数の人は長岡鉄男
先生のスピーカーを聞いたことがない人もいると
いうことですね。
そんな長岡先生のスピーカーを聴いたことがない
方にここで信じられない朗報があります。
来る12月14日日曜日にミューズの方舟主催の
「自作スピーカーコンテスト2008」が開催されます。
このコンテストでは10名のスピーカービルダーが
ルールに従った製作したスピーカーを鳴らし音を
競うというもの。
全スピーカーを視聴が終わった後に
みなさんの投票で受賞作を決める。
長岡先生のスピーカーそのものの出品はないですが、
その進化系とでもいうべきスピーカーを聴くこと
ができるのではないでしょうか。
数名出品される方の情報を得ていますが
今回はかなり凄いことになるのは間違いないでしょう。
今回はおそらくFE138ES-Rでの出品もあるでしょうから
138ES-Rでお悩みの方も方にも絶対オススメできます。
○日時:2008年 12月 14日(日) 13:00開始(12:30開場)
○会場:品川区立中小企業センター 3階レクリエーションホール
品川区西品川1-28-3 電話03-3787-3041
○交通:京浜東北線・りんかい線「大井町」徒歩10分
東急大井町線「下神明」徒歩2分 (車でのご来場はご遠慮ください)
○入場無料
詳しくはこちら
http://www.diyloudspeakers.jp/idaf/data/137.html
私は出品はしませんがボランティアスタッフとして参加
します。是非大山にも会いにきてください!!否否
スピーカー聴きにきてください(笑)。
■編集後記■
今日は私の最も尊敬する木工職人のお話
をしたいと思います。
私は木工所勤め今年で2年目になります。
仕事の基本的な流れや枠組みは覚えましたが、
まだまだ小さな失敗は毎日します。
仕事はスピードが命で、ちょっとでも遅れた作業
をすれば木で頭をトントン叩かれます。
「遅いぞーーー!!」って。
そんな環境の中私の最も尊敬するM先輩は
木工一筋30年の大ベテラン。
他の人が考え付かないような治具を考え付いたり
図面の奥深くに隠された暗号を読み取る能力
に長けていたりと、それはもう本当に凄い方なんです。
彼は、私が親方に怒られた後いつも私に近づいてきて
「仕事はひとつづつ確実に覚えてゆくんだぞ!!」
と励ましてくれます。
仰るとおり。仕事はひとつ、ひとつの積み重ね
が長い時間をかけて大きな力になってゆきます。
M先輩も一朝一夕に今の凄い仕事ができるように
なったわけではないはず。
「何事も一歩づつすすんでゆくことが大事byM先輩」
最後まで読んでくれてどうもありがとうございます。